2012年1月7日土曜日

坂東三十三観音 番外編 吉見百穴、岩窟ホテル、岩室観音

吉見百穴
坂東三十三観音めぐりの途中に寄った吉見百穴。昭和の香りが濃い観光地ですが、岩山にいくつもの穴が開いている光景は穴愛好者だけでなく一般の方々にも人気があるようで、今でも埼玉の観光名所として賑わっていました。
この穴の正体については諸説あり「古墳説」や「小人の住居説」が有名です。観光客の中では「小人の住居説」が有力なようで、ほとんどの人が小人先住民族であるコロポックルの話をしています。

地下軍需工場跡(吉見百穴)
吉見百穴のある岩山の下部には国指定天然記念物であるヒカリゴケの自生している穴と第二次世界大戦中に建設された地下軍需工場跡があります。
ヒカリゴケの自生している穴は鉄柵でふさがれていて入穴は不可能ですが、地下軍需工場跡の一部は中を見学することができます。
都内にあった中島飛行機の工場が空襲で被災してしまったため、移転地としてこの場所が選ばれたようですが、本格的に稼働する前に終戦をむかえてしまったとのことです。あまり中に入る人はいないようで寂しい感じでした。

・岩室観音(岩室山 龍性院)

岩室観音
吉見百穴に到着する前に誰もが目につくポイントが2ヶ所あります。その1つが岩室観音。
道から見える建物はお寺の入り口にある山門に見えますが、山門ではなく江戸時代に造られたお堂。懸造りという珍しい建て方のお堂は前を通る人の目をひきますが、特に案内も無いためか立ち寄る人は少ないようです。

階段(岩室観音)
両側を崖にはさまれた形のお堂ですが向かって右側は鉄骨で補強されています。見た目が古いためたよりない階段ですが、ワクワクしながら2階にあがります。階段はかなり急傾斜であるため、年配の方にはきつそうです。

お堂内部(岩室観音)
2階からの眺めは絶景というほどのものではありませんが、江戸時代から現在まで現存するお堂内部は、参拝者が私達のみであるためか、とても落ち着きます。

天井(岩室観音)
天井はいくつもの柱が組合わさっていますが、柱が多すぎるためか安定感がありません・・・。お堂内部は落ち着く場所であるにもかかわらず、建物には安定感がない・・・。他の場所では感じられない独特の雰囲気、それが岩室観音の魅力なのかもしれません。

胎内めぐり(岩室観音)
岩室観音の裏側は入り口の期待度からするとあっけないほどなにもありません。岩室観音がお堂にあることを考えれば裏には大したものがないのは当然ですね・・・。
向かって正面を登ると松山城址、左側の急傾斜にある鎖つたい登ると胎内巡り。お堂の裏側は雨水がしみでていてジメジメしており足を踏み入れるのをためらいますが、岩室観音にお参りに来られたのであれば、胎内巡りはおすすめです。

八十八ヶ所巡り右側(岩室観音)
お堂の両側には八十八体の石仏が奉られています。こんなところでお手軽八十八ヶ所巡りに出会えるとは意外でした。

八十八ヶ所巡り左側(岩室観音)
ちなみに、岩室観音は「比企西国三十三所」の第三番となっています。
「比企西国三十三所」は江戸時代に遠隔地へ巡礼できない方々のために比企郡内に創設されたものでありますが、明治時代の廃仏毀釈により現存しているのは12箇所だけとのこと。

裏から(岩室観音)
我々が訪れた時は他に参拝されている方はいませんでしたが、お堂内部は綺麗にされており、石仏に奉納された前掛けも最近のものばかりで、現在でも大事にされているようでした。あまり有名な場所ではありませんが、このような立派な建築物はいつまでも残っていて欲しいものです。

・巌窟ホテル

正面(巌窟ホテル)
吉見百穴付近の気になるポイント2つ目は岩室観音の横にある「巌窟ホテル」。
岩室観音が誰でも気になるほど目立っているのに比べ、巌窟ホテルのほうは知っている人でも見落としてしまいそうなほど存在感がなくなっています。
高橋峰吉さんという地元の方が明治37年から21年かけてこの岩山に掘った洞窟ホテル。ノミ1本でこつこつと掘っていたせいか、峰吉さんだけでは完成しなかったようで、その意志は二代目の泰次さんに引き継がれ完成することとなりました。
製作過程を聞いただけでゾクゾクしてくる穴好きなら必見のポイントです。

遊具(巌窟ホテル)
現在は全ての穴が塞がれており、残念ながら内部へは入れません。さらに手前には緑のフェンスがあり巌窟ホテルへは近寄ることもできません。手前の庭?にはもう何年も使われていないような遊具ありますが、サビだらけで廃ホテルの雰囲気を盛り上げています。

巌窟売店(巌窟ホテル)
巌窟ホテルの前には巌窟ホテルと関係のありそうな巌窟売店という名前の売店があります。あまりにも人気がなくて普通の観光地であれば入るのをためらってしまう外観ですが、巌窟ホテルの謎を探るためここで休憩してみました。
店番をされていたのは巌窟ホテルを発掘した高橋峰吉さんのお孫さんと思われる女性で、巌窟ホテルについて色々と話を伺うことができました。
その中で分かったことは
・ホテルという名前であるが、ホテルとして営業していたわけではない。
・中は湿度が高くて宿泊するなんてとんでもない場所である。
・昔は見学客に開放していて中に入ることができたが、現在は崩落の危険があるため閉鎖中。

店内には全盛期?の巌窟ホテル外観及び内部や高橋峰吉さんの写真が飾ってあり、現役時代の巌窟ホテルの白い外壁や本当のホテルのような凝った内部はとても個人が作ったものと思えないほどの仕上がりでした。
当時の写真を見ると益々中に入ってみたくなりますが、今後、復旧させる予定はないとのことでした。外観も全く手入れをされていないようですので、さらに崩壊が進むと外からの見学も不可能となってしまうかもしれません。興味のある方は早めに訪れたほうが良さそうです。

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