福島県の白河と南会津の間にある甲子峠を通る国道289号がまだ工事中であった2008年6月に訪れた記録です。2008年9月に甲子道路が開通し点線国道は国道ではなくなってしまいました。
新潟県新潟市〜福島県いわき市を結ぶ国道289号には自動車の通行が不可能である区間が2箇所あり、地図上では点線で表されているため点線国道と呼ばれています。
そのひとつが福島県の下郷町〜西郷村間の甲子峠(かしとうげ)です。
白河から国道289号を西へ進み那須甲子道路との分岐をさらに直進すると奥甲子との分岐地点に到着。
直進の国道は通行不能!となっていますが、まだ進むことができます。通行不能は直進ですがそちらはノーガードで、奥甲子方面には警備員が2名もいて目を光らせています。
ちなみに右折の奥甲子方面は国道289号の旧道。
警備員の目が気になるので今回は国道289号を直進しますが、どちらを進んでも最終地点は同じです。
いくつかトンネルがありますが、安心坂トンネルを抜けると甲子大橋に到着。ここからは工事中で進むことができず、甲子大橋の向こうには甲子トンネルの入口が見えているのですが、近づくこともできません。
橋の手前にいた警備の方に聞いてみるとトンネルはすでに貫通しているが照明等の内装工事が終わっていないので、まだ一般車両は通行できないとのことでした。
甲子大橋の手前で一般車両は大きく左折し、そのまま甲子大橋の下を通過し山を下る道になります。この道が現在の国道289号ですが、ここからはセンターラインのない細い道になってしまいます。
国道289号の白河側で自動車が通行できるのは奥甲子温泉の旅館大黒屋まで。奥甲子温泉と言ってもあるのは大黒屋1軒だけですので、このあたりの国道289号は大黒屋の関係者と利用客の専用道路といってもよいでしょう。
甲子大橋から降りてくる道が写真左側の道であり現在の国道289号です。
そして国道289号は大黒屋の建物右側にある駐車場に向かいますが、自動車が入れるのはこの駐車場までとなります。
ちなみに積雪のため大黒屋は冬季の営業をしていません。
※甲子道路の開通及び新館が完成したためが009年冬から冬季も営業しています。
自動車で進めるのは大黒屋の離れである勝花亭の手前までですが、国道289号は勝花亭を突き抜けて続いています。
ここからは歩きで勝花亭の渡り廊下を山のほうに進みます。
ほとんどの宿泊客は、泊まっている旅館の中を国道が通っているとは意識していないようです。旅館の中の国道は大きな売りになるはずですが、大黒屋のサイトには国道289号の点線国道区間については一切触れられていません。
国道289号のことが知られてしまうと利用客が増えてしまい営業が大変になってしまうのであえて載せていないのでしょう。
勝花亭の裏から坂を下って行くと、舗装もなくなってしまい本当にこの道が国道なのか不安になってきますが、このあとこの道が確かに国道289号であることが分かります。
ちなみに勝花亭は西郷村の文化財でありますが、一般客も宿泊可能です。国道が通過する文化財に宿泊できるなんて一度経験してみたいものです。今回は日帰りだったのが残念です。
坂を下りきると橋があり手前の看板には甲子登山口と書いてあり、橋の向こうから甲子山の登山道となります。
橋を渡って山に向かう登山道が国道289号ですが、橋を渡った先は階段になっており、車両は通行できません。
本当に国道289号なのか不安でありますが、橋の手前左側には国道289号の国道標識があり、この道が国道289号であることを主張しています。
階段の先に続く落ち葉まみれの登山道も国道です。青い倉庫の先を進むと・・・。
全国の道好きが一度は訪れたい場所!国道標識の人気ナンバーワン間違いなしのおにぎり登場!国道289号は国道標識の左側の登山道をさらに続くのですが、甲子温泉側の国道標識はこのおにぎりが最後となります。
梅雨時であったためこの日の国道289号は雨水でぐちゃぐちゃでした。
いくつかある点線国道のなかでも国道289号に人気が多いのは、この国道標識の存在であるといえます。
登山道に国道標識があるだけでも大興奮でありますが、特筆すべきはこの国道標識の支柱が木製ということでしょう。最近では景観に配慮して山間部では茶色で塗装された道路標識やガードレールを見かけますが、自然木を利用した国道標識の景観的配慮には頭があがらないことでしょう。
ただし登山道脇の柵は鉄パイプでした・・・。
車両通行不能な国道としては青森の竜飛岬にある国道339号の階段国道が有名ですが、こちらも負けず劣らずの珍国道情緒を堪能することができます。
現在、甲子峠は国道289号の車両通行不能区間となっていますが、工事中である甲子トンネルの供用が開始されると、そちらの道が国道289号となり、現在の国道289号である甲子登山道(点線国道)は国道の指定を解除されてしまうことでしょう。
甲子道路工事の情報は「国土交通省 東北地方整備局 郡山国道事務所 喜多方出張所」のサイト(http://www.thr.mlit.go.jp/koriyama/road/kashi/index.html)に掲載されており、甲子道路の開通時期は平成20年度となっていますが、具体的な開通月がいつであるかはまだ確定していないようです。
工事現場の警備員の方の話では今年中には甲子トンネルが開通する予定とのことでしたので、残念ながらこの珍しい国道を体験できる期間はあとわずかと思われます。
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